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車椅子アスリートのエネルギーや栄養素の適切な摂取量

更新日:2023年10月12日


今回はスイスで行われた研究をもとに発表された車椅子アスリートのエネルギーや栄養素の適切な摂取量に関しての記事を解説していきます。


 

車椅子アスリートのエネルギーや栄養素の適切な摂取量について考察する重要なデータが提供されました。

この研究では、パラリンピック出場レベルのエリートアスリートを4カ月間にわたって追跡し、異なる4つの時点でデータを収集しました。

その結果、車椅子アスリートの摂取量が全体的に少ない可能性が示されました。このようなデータは、アスリートの健康やパフォーマンスに直結する重要な要素であり、適切な栄養素の摂取がスポーツ選手のパフォーマンスに及ぼす影響を理解する上で貴重な情報となります。

運動量の多いアスリートは、通常よりもエネルギーや栄養素を多く必要とするため、十分な栄養を摂取することが重要です。特に車椅子アスリートは、身体の負担や筋力の消耗が大きいため、栄養面でのサポートが必要不可欠です。

この報告は、車椅子アスリートの栄養状態をより詳細に理解し、適切な栄養戦略の策定に役立つだけでなく、スポーツ栄養学の進展に寄与することが期待されます。スイスからのこのような貴重な研究は、世界中の車椅子アスリートの健康とパフォーマンス向上に寄与することでしょう。


 

パラアスリートの適切な摂取量とは?

報告された論文は、車椅子アスリートのエネルギーや栄養素の適切な摂取量について重要な研究です。特に車椅子アスリートの栄養要件に関する情報は、健常者アスリートの研究に比べて限られているため、その理解にはより多くの研究が必要です。

論文では、4カ月間にわたってトップ車椅子アスリートの食事摂取量とエネルギー可用性(EA)を評価し、競技会参加前から連続する4つのトレーニングフェーズでデータを収集しました。この評価により、車椅子アスリートの栄養状態やエネルギー摂取量の傾向が把握され、健康とパフォーマンスに対する影響が理解されるでしょう。

報告によれば、車椅子アスリートのエネルギーや栄養素の摂取量が全体的に少ない可能性が示されたとのことです。健康とパフォーマンスに悪影響を及ぼす「利用可能エネルギー不足(low energy availability;LEA)」の可能性が指摘されており、それがトレーニング効果や回復、パフォーマンスにどのように影響を及ぼすかが検討されることでしょう。

これらの研究結果は、車椅子アスリートの栄養サポートを含む適切なトレーニングや食事戦略の策定に役立つだけでなく、将来的なスポーツ栄養学の発展にも寄与すると期待されます。また、健常者アスリートとの違いや車椅子アスリート特有の要件を考慮することが、個別のアスリートに最適な栄養戦略を構築するために重要であると指摘されています。


パラリンピック出場レベルの車椅子アスリートを対象に調査

この研究には、スイスのエリート車椅子アスリートの健康に対する、プロ/プレバイオティクス摂取の影響を調査するランダム化クロスオーバーパイロット研究のデータが用いられています。

参加した車椅子アスリートは14人で、全員が世界レベルで競技を行っており、そのうち8人はパラリンピック出場経験がありました。年齢は平均34歳で、女性が8人、BMIは平均22であり、四肢麻痺が4人、対麻痺が7人でした。減量中のアスリートはおらず、1人はベジタリアンでした。 研究では、ベースライン時点(介入前)と介入が行われた後の4週後、8週後、12週後の各時点で、アスリートが連続3日間にわたって摂取した食品の写真とともに記録をしました。また、同じく連続3日間、アスリートはトレーニング日誌をつけました。これらの食品摂取とトレーニングの記録は研究者によって確認され、必要に応じてアスリート本人から情報を聴取して、摂取エネルギーや栄養素の量、トレーニングの量などが評価されました。 このデータを用いて、プロ/プレバイオティクスの摂取が車椅子アスリートの健康に与える効果や影響について、科学的な分析が行われたと考えられます。プロバイオティクスは腸内環境に良い影響を与えるとされ、プレバイオティクスは腸内で有益な細菌の増殖を促す成分です。このような成分が車椅子アスリートの栄養戦略にどのような効果をもたらすかを調査したものと思われます。

 

車椅子アスリート向けの栄養ガイドラインとスポーツ栄養士の介入が必要

摂取エネルギー量(EI)と運動による消費エネルギー量(EEE)についてのデータが報告されています。男女ともに4つのフェーズにわたってEIとEEEに有意な変動は見られませんでした。 平均的なEIは1,674±481kcal/日、EEEは平均344±139kcal/日であり、四肢麻痺と対麻痺との比較でも、EEE、EI、主要栄養素摂取量に有意差はなかったという結果です。 しかし、主要栄養素別にみた場合、炭水化物の摂取量は男性が1日あたり4.0±0.7g/kg、女性は2.7±0.9g/kgであり、男性の方が女性よりも多いことがわかりました。推奨範囲を3~12g/kg/日とした場合に、男性は評価した日の80%がこの範囲にあったのに対して、女性は39%だけでした。この差は有意であり(p=0.02)、女性の方が炭水化物の摂取量が推奨範囲内に満たない割合が高かったことを示しています。 同様に、タンパク質の摂取量も男性が1日あたり1.5±0.3g/kg、女性は1.1±0.3g/kgであり、男性の方が女性よりも多く摂取していました。推奨量を1.2g/kg/日とした場合に、男性は評価した日の74%がこの値を満たしていたのに対して、女性は36%だけでした。この差も有意であり(p=0.01)、女性の方がタンパク質の摂取量が推奨範囲内に満たない割合が高かったことが示されました。 脂質の摂取量については、男性が1日あたり1.4±0.2g/kg、女性は0.8±0.30g/kgで、男性の方が女性よりも多い傾向でした。推奨範囲とされる摂取エネルギー量比で20~35%の範囲内には、男性は評価した日の45%、女性は40%が入っていて、有意差は見られませんでした(p=0.67)。 この結果から、特に女性車椅子アスリートの場合、炭水化物とタンパク質の摂取量が推奨範囲内に満たない可能性が高いことが示唆されます。これらの栄養素はアスリートのエネルギー需要やトレーニングに対する回復に重要な役割を果たすため、栄養面のサポートや改善が適切なパフォーマンスを維持する上で重要であると考えられます。

評価した日の48%でエネルギー可用性低下(LEA)が認められる エネルギー可用性(EA)は、アスリートのエネルギー摂取量から運動による消費エネルギーを除いた値を除脂肪体重で割ったものです。

男性のEAは平均で38.7±8.3kcal/kg除脂肪体重/日であり、健常アスリートと同様に30kcal/kg除脂肪体重/日をカットオフ値とした場合、評価した日の34%でエネルギー可用性低下(LEA)が観察されました。一方、女性のEAの平均値は27.2±8.9kcal/kg除脂肪体重/日で、健常者アスリートのカットオフ値を下回っていました。そして、女性の評価した日の58%でLEAが観察されました。特に女性のバドミントン選手の1名は評価した日のすべてでLEAが観察されたことが報告されています。

さらに、鉄欠乏貧血が2名の女性で認められ、ビタミンD不足(75nmol/L未満)が男性・女性ともに過半数で認められたとのことです。

これらの結果をもとに、著者らは車椅子アスリートを対象とする栄養ガイドラインの必要性と、スポーツ栄養士による継続的な教育と指導の重要性を強調しています。LEAはアスリートの健康とパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があるため、EAの適切な管理と栄養摂取の最適化が重要であると考えられます。特に女性車椅子アスリートの場合、炭水化物とタンパク質の摂取量が推奨範囲内に満たない割合が高かったことから、適切な栄養サポートや指導が必要であるとされています。


 

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