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パラアスリートの競技力を最大化する『フィジカル × 用具』の法則

  • 執筆者の写真: Sit-Fit Owner
    Sit-Fit Owner
  • 2 日前
  • 読了時間: 7分
パラアスリートの競技力

「ウエイトトレーニングで筋力はついたはずなのに、なぜか車椅子アスリートのスピードが上がらない」

「車椅子テニスで、サーブを打つたびに肩が痛む」

「高価な義足や競技用車椅子に変えたのに、パフォーマンスが上がらない」

「練習を重ねると、義足の断端部(皮膚)が擦れてしまう」


競技力の向上を目指す多くのパラアスリートが一度はこのような壁に突き当たります。

ではなぜその壁に当たってしまうのか。

それは、「健常者のトレーニング理論」をそのまま当てはめようとしているか、もしくは「用具」の性能に依存しすぎているからです。

健常者のアスリートが「地面」を蹴って全身でパワーを生み出すのに対し、パラアスリートは「障害による制約(例:座位、麻痺、義足)」の中で、限られた身体機能と『用具』とを一体化させてパフォーマンスを発揮しなければなりません。

パラアスリート強化のために、UTCが拘っている点は『フィジカル × 用具』=『競技力』

競技力とは、「フィジカル(身体機能)」だけでも、「用具(車椅子、義足、装具、など)」だけでも決まりません。その二つが精密に組み合わさった「かけ算」によって最大化されます。

ここでは、なぜ一般的なトレーニングではパラアスリートが勝てないのかその根本的な理由と、UTCが提供する「専門トレーニング」の核心を徹底的に解説します。


1. 健常者とは「前提」が違う。パラアスリートの身体的特性と『用具』の関係

パフォーマンスを語る前に、まず「健常者のアスリート」と「パラアスリート」の決定的な違いを理解する必要があります。

  • 健常者:下半身から上半身への「運動連鎖」 健常者のスポーツ(走る、投げる、打つ)におけるパワーの源泉は、例外なく「床反力」です。足で地面を蹴った力が、体幹を通じて上半身や腕へと伝達されます。用具(ラケットやシューズ)は、その力を効率よく伝えるための「身体の延長」として機能します。


  • パラアスリート:「制約」の中で『用具』と一体化する パラアスリートは、障害特性に応じた「制約」の中で、用具を「身体の一部」として使いこなす必要があります。 【車椅子アスリートの場合】 「固定された骨盤(座位)」が土台です。床反力は使えず、パワーの源泉は「体幹」と「肩甲骨」になります。車椅子は、移動のための「下半身そのもの」として機能します。 【義足・装具アスリートの場合】 床反力は得られますが、パワーの接点は「ソケットと断端部」です。健常者とは異なる筋活動パターンや、感覚フィードバックの欠如を補う、特殊な運動学習が求められます。


これらの根本的な違いを無視したトレーニングは、非効率であるばかりか怪我のリスクを飛躍的に高めてしまいます。


2. なぜ『残存機能』だけを鍛えても勝てないのか?

「パワーが足りないなら、筋トレをすればいい」

そう考えて一般的なジムで筋トレに励んでも、競技力に直結しないのはなぜでしょうか。


  • 「麻痺部の残存機能」を引き出せていない

一般的なトレーニングは「動かせる筋肉」を強くすることに集中し、「麻痺した部分」は無視されがちです。しかし、パフォーマンスアップの鍵は、しばしばその「麻痺部」に隠されています。

わずかに感覚や運動機能が残っている場合、アスリートにとって、「麻痺した下肢のわずかな踏ん張り」や「左右非対称な体幹の筋力」は、勝敗を分ける重要な要素です。例えば、車椅子の駆動動作においてもわずかでも下肢が踏ん張りが効けば、体幹の安定性は劇的に向上します。 UTCでは、神経学的な知識に基づき、「眠っている残存機能」をどうすれば引き出せるか、そしてそれをどう競技動作として再学習させるかという専門的なトレーニング(促通)を行います。これは、一般的な筋力トレーニングとは全く異なるアプローチです。


また、「動かない」麻痺部であっても、その「柔軟性(関節可動域)」はパフォーマンスに決定的な影響を与えます。

麻痺した下肢は、動かさないことで関節が固まる「拘縮」を起こしやすい状態にあります。特に股関節や膝が曲がったまま固まると、車椅子のシーティング(座る姿勢)に深刻な問題を引き起こします。例えば、股関節の拘縮によって骨盤が後傾した姿勢しかとれないと、競技の土台そのものが崩れます。骨盤が後傾した「猫背」の状態では、体幹に力が入らず、肩甲骨(動力伝達部)も正しく機能しません。 UTCでは、麻痺部のストレッチや可動域訓練を「良い姿勢(土台)を作り、理想的な動作(フォーム)を追求するための積極的なコンディショニング」と位置づけています。動かない部分のケアこそが、動かせる部分のパフォーマンスを最大化するのです。


  • 「特定の部位」が壊れてしまうから

これがUTCトレーナーとして最も警鐘を鳴らしたい点です。パラアスリートは、特定の部位に負荷が集中します。

【車椅子アスリート】

日常生活の移動(プッシュ)と競技活動で、24時間365日、「肩」を酷使します。漕ぐ筋肉(推進筋)ばかりが発達し、肩を支えるインナーマッスル(拮抗筋)が弱化することで、肩の痛み(インピンジメント症候群など)に繋がります。 【義足・装具アスリートの場合】

義足側を無意識にかばうことで、「健常な側の脚」や「腰」に過剰な負担がかかります。また、ソケット内の皮膚トラブルは、練習の継続を困難にします。


UTCの専門性は、この「アンバランス」を医学的知見から是正することにあります。私たちは、トレーニング時間の一部を、あえて地味な拮抗筋や安定筋の強化に割きます。これはアスリート生命を守るための「守りのトレーニング」であり、安全に「攻めのトレーニング」を続けるための土台となります。


3. なぜ『用具(道具)』だけを調整しても勝てないのか?

「パフォーマンスが上がらないのは、用具が合っていないからだ。」

そのように考え高価な用具に乗り換えるアスリートもいます。しかし、それだけでは勝てません。

用具は「身体の一部」。健常者にとってシューズが重要であるように、パラアスリートにとって用具は「身体の一部」です。車椅子は「土台」、義足・装具は「新たな脚」と言えます。これらはすべて、使う人の身体に「適合」して初めて機能します。

最新の用具も、使う『人』の身体機能に合っていなければ、その性能は100%発揮されません。

例えば車椅子の場合、体幹機能が残っている選手が、安定性だけを求めて背もたれを高くしすぎると、体幹の回旋運動が妨げられ、パフォーマンスは低下します。これは用具が身体機能を妨げていることになります。

また義足においてもその人の断端部の形状や筋力にソケットが合っていなければ、力を伝えられません。

用具の調整とは、単なる道具の調整ではなく、「その人の残存機能と、これから伸ばしたい機能を、どうやって引き出すか」という、医学的・運動学的な分析に基づいた精密な作業なのです。


車椅子アスリートはなぜ『残存機能』だけを鍛えても勝てないのか?


勝利への鍵は『×(かけ算)』にある 〜UTCの専門性〜

フィジカルだけでも用具だけでもありません。

競技力を決定づけるのは、その二つをいかに高いレベルで「適合」させるか、その『×(かけ算)』の部分です。

これこそが、UTCが、「身体と動作の専門家」として提供する、最大のサービスメリットです。


医学的知見に基づく「双方向アプローチ」

  • 『フィジカル』へのアプローチ

健常部の筋力強化はもちろん、麻痺部の残存機能の引き出し(促通)、麻痺部の可動域確保(コンディショニング)、効率的な動作の運動学習など、トレーナーとしての専門的な身体機能訓練を行います。


  • 『用具』へのアプローチ

その選手の身体機能を引き出すために、用具の調整提案を行います。(例:車椅子セッティング、義足のアライメント、装具の固定範囲の検討、ラケットのグリップ形状の変更など)

「身体を用具に合わせる」訓練と、「用具を身体に合わせる」調整。この両輪を回すことで初めて、パフォーマンスの『かけ算』は最大化されます。


安全を担保する「医学的リスク管理」

パラアスリートのトレーニングは、常に医学的なリスクと隣り合わせです。

痙性、褥瘡(皮膚トラブル)、体温調節の異常、自律神経過反射など健常者にはない特有のリスクが存在します。

私たちは、これらの医学的リスクを徹底的に管理し、「安全の土台」を確保した上で、アスリートを限界まで追い込む「攻めのトレーニング」をデザインします。


パラアスリートの競技力向上は、一般的なジムでのトレーニングや用具の購入のみでは完結しません。

あなたの麻痺部も含めた全身「フィジカル」を深く理解し、あなたの「用具」の特性を熟知し、そして何より、その二つをどう「かけ算」すれば競技力が最大化されるかを知り尽くした、医学とスポーツ科学の専門家が必要です。

UTCは、『フィジカル × 用具』の双方アプローチと、障害特性に基づいた専門的トレーニングを通じて、あなたの競技力を最大化する日本でも数少ない専門施設です。

「今のトレーニングに限界を感じている」

「怪我の不安なく、本気で上を目指したい」

「麻痺があるからと諦めていた動作を、もう一度見直したい」

その情熱と課題を、ぜひ一度、私たちにぶつけてみてください。


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