
車椅子を使用していると、立ったり歩いたりできないことがしばしば注目されがちです。
しかし、一見目に見えない別の大きな挑戦が、トイレにまつわる課題です。
膀胱や直腸の機能障害に起因する排便の難しさは、多くの人が抱える深刻な問題です。
例えば、排便に2から3時間を費やす人も少なくありません。
このように時間をかけずにスムーズに排便を完了させたい、車椅子使用時におけるトイレの問題を緩和したいと思った経験はありませんか?
このような課題への対策として、効果的なのは適切な運動と栄養バランスの取れた食事です。
これらを取り入れることで、状況が大きく改善されることがあります。
特に、運動においては腹筋運動がキーとなります。
車椅子使用者の日常では腹筋をほとんど使わないため、腸内での便の移動を助ける蠕動運動が衰え、結果として排便が困難になることがあります。
したがって、腹筋を積極的に動かすことは、排便を促進するために非常に重要です。
運動の詳細については今回は触れませんが、食生活の観点から、車椅子使用時のトイレトラブルをどう軽減できるか見ていきましょう。
車椅子使用者が直面するトイレの困難は目に見えにくいですが、日常生活において大きな障壁となり得ます。
脊髄損傷者の中には、排便に長い時間がかかるという悩みを抱える人も多くいます。
この問題を軽減するためには、食事によるアプローチが有効です。
食物繊維の豊富な食事は、便通を改善する鍵とされています。
厚生労働省が推奨する1日の食物繊維摂取量は、成人男性で20g以上、女性で18g以上です。
しかし、多くの人がこの目標を達成していないのが現状です。
現代の生活様式では、食物繊維を十分に摂取することは挑戦的なことかもしれませんが、意識して取り組むことで改善が見込めます。
食物繊維には、水溶性と不溶性の2種類があります。
水溶性食物繊維は便の水分を保ち、腸内での移動を促進します。
野菜:オクラ、ごぼう、山芋
豆類:納豆
海藻類:ひじき、ワカメ、昆布
不溶性食物繊維は便を形成し、排便を助ける働きがあります。
穀物:玄米、胚芽米、そば
野菜:シイタケ、エリンギ、いんげん豆、切り干し大根
豆類:小豆