top of page

脊髄損傷者に対する運動フィットネスガイドライン




今回は脊髄損傷者に対する運動フィットネスのガイドラインに関してご紹介いたします。

脊髄損傷者の健康を保つにはどれくらい運動すればいいのか。これを的確に記してある文献は残念ながらほとんどありません。

一方で、健常者に関しては運動指標はしっかり存在しています。日本においては健常者が健康を維持する為に必要な運動量を決めた『健康づくりのための身体活動基準2023』(*1)という指標があります。


こちらによると、3METs(軽く汗をかく程度の運動)の強度で運動を”毎週60分”することが推奨されています。

つまり週2回・30分程度運動をしていれば一般的には健康維持できるということになります。具体的に運動強度や運動時間がしっかり示されていてとてもわかり易くなっています。


しかし日本では脊髄損傷者に対してはこのような運動、フィットネスに関する指標はありません。

むしろ世界的にも脊髄損傷者に対して運動ガイドラインを出しているところは少ないのが現状ですが、今回はイギリスで示されているガイドラインをご紹介させていただきます。



脊髄損傷者に対する科学的な運動ガイドライン



Scientific exercise guidelines for adults with spinal cord injury(*2)というイギリスで示されているガイドラインになり、これはイギリスの National Centre for Sport and Exercise Medicine(NCSEM)が2017年に発表した物になります。

NCSEMはロンドンオリンピック、パラリンピックのレガシープロジェクトの一つで、スポーツ・エクササイズ・運動に関しての教育、リサーチをしている素晴らしい施設になります。


そして今回のガイドラインは、

  • カナダの The University of British Columbia

  • 脊髄損傷の研究で有名な Rick Hansen Institute

  • イギリスの名門 Loughborough University


という世界的に権威のある三施設も関わって出来上がった強力なガイドラインになります。


この脊髄損傷者へのガイドラインの特徴はなんと言っても”とにかくわかり易い”ということです。たとえ英語が読めなくても数字が目に飛び込んでくるので、とても見やすくすぐに理解できると思います。

ご興味のある方は、下記のURLからNCSEMのページに飛ぶとこのガイドラインをダウンロード出来ますので、是非見てください。



脊髄損傷者は30分の運動を週3回以上しなければダメ?


まずは今回のガイドラインの対象者です。

このガイドラインの対象は18歳から64歳の慢性期脊髄損傷者(受傷後1年以上経過、C3レベル以下)とされています。合併症がある人は省かれていますが、その他、外傷性または非外傷性の原因、対麻痺、四肢麻痺両方含む、そして性別や人種も関係ないとされており、誰でも使えるわかり易いガイドラインとなっています。

このガイドラインで説明していることは主に、①フィットネスと、②心血管代謝の健康の為の運動です。


 

①フィットネス


脊髄損傷者は心肺機能と筋力の向上のために、20分の中強度の有酸素運動を週2回、そして大筋群に対しての中強度のストレングストレーニングを3セット週に2回行わなければならないと記しています。


中度の運動強度とは一般的に安静時の心拍数から最大心拍数までの50〜70%の範囲で、少しキツイと感じる程度の運動になります。ですので、その少しキツイ有酸素運動と筋力トレーニングを週2回すれば心肺機能が維持されるということになります。


②心血管代謝の健康


更に、心血管代謝の健康の為には最低でも週に3回30分中強度の有酸素運動をする必要があり、これより少ない運動量となると得られる効果はかなり減少してしまうとも説明されています。もちろんそれ以上の運動をすることでも更に良い効果を得られるとも書かれています。


 

以上、このガイドラインではこの2点が簡潔にまとめられています。

先ほどご紹介した日本の『健康づくりのための身体活動基準』と比べても脊髄損傷者は健常者よりも30分多く運動しなければならないということになります。


もちろん車いすに乗っている分、健常者よりも運動をしなければならないことは想像がつくかと思います。

しかし、どんな運動をどれくらい増やせば十分なのかが明確ではなかったのが、このガイドラインによってプラス30分という数字が具体的に分かるのはすごく助かりますね。

 

いかがでしたでしょうか?

皆さんもこのガイドラインの数値を参考にして運動頻度をあげ、10年後も健康を維持できる身体作りを目指していきましょう。

 

《参考文献》

*1:健康づくりのための身体活動基準2013(概要版)

*2:Goosey-Tolfrey, V. L., Scheer, J. W., Lexell, J., Clements, K., & Ginis, K. A. (2018). Development of scientific exercise guidelines for adults with spinal cord injury. British Journal of Sports Medicine. doi:10.1136/bjsports-2018-099202

閲覧数:42回

Comentarios


bottom of page